弦楽器を製作しているはずです。 

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驚異の部屋に時計はあったか #4

当時の驚異の部屋の物品は、現代とは一線を画する独特なジャンルで分別されていた。
ナトゥラリア(自然の物)、ミラビリア(珍奇な物)、アルテファクタ(人工の物)、スキエンティフィカ(科学の物)、アンティクイタス(古代の物)、エクソティカ(外来の物)。
現代人からすれば、かなり戸惑う分け方である。

サンダイアル

センターには象牙細工の塔に巨大なオウム貝。
アルテファクタとナトゥラリアを代表するアイテムだ。
左上にはシャレコウベ、右下にサンダイアル。
この2つを対角に配置することで、メメント・モリを表現している。
機械式時計ではなく、おそらく象牙で出来ていると思われる日時計だ。
反対の対角には血色珊瑚と、瑪瑙の原石か巨大な琥珀だろうか。
これもミラビリアの代表で、海の物と山の物で対角に配置しているのだろう。
で、両サイドと残りのスペースに、アンティクイタスやエクソティカというジャンルの物が配されている。

この画像を見る限り、1つのキャビネットに驚異の部屋全ての要素を詰め込もうとしているのがわかる。
これはいわゆる黎明期の傾向ではなく、驚異の部屋の過渡期から衰退期にかけての傾向である。

貴族の持つ贅を尽くした蒐集の趣味は、やがて庶民に広まる。
驚異の部屋の本質、つまりは物品で世界を表現する事を、貴族達が1部屋丸ごと使用していたのに対し、
庶民は部屋の一角の小さなキャビネット1つに納め表現しようとした。

圧倒的な物量をもって蒐集されるのではなく、キャビネットというごく小さなスペースに収納しなければならないので、その品物は厳選に厳選を重ねられることになる。

また、庶民であるが故に、あまりに高価であったり、貴重すぎるものは蒐集されなかっただろう。
或いはスペースが限られているので、全要素を集めることは諦め、いずれかのジャンルに特化した物品のみを蒐集する人もいた。
動植物なら動植物だけ、絵画なら絵画だけ、個人の好みでそうやって細分化されていって、これが結局、現代の博物館や美術館に通じるわけだが、その生真面目な空気が張りつめた空間からは、笑いやユーモアといった類のものが排除されてしまったのだ。

さて、前置きが長くなったが、全盛期を過ぎ、過渡期、衰退期(17~18世紀初頭)を迎えた驚異の部屋の概要は以上のような感じである。

実は、当時の驚異の部屋の画像というのは、持て余すほど出回っていない。
写真などなく、絵か文字として残すしかなかったので、絶対数が少ないというのもあるが、
現代のインターネットのようなインスタントな世界の中では、わざわざ古い文献を漁ったりはせず、
すでに出回っていて容易に手に入る、代表的なお決まりの画像が世界中で使い回されている、というのが現状だ。

そういう、厳選された画像のみが使い回されているというのは、まさしく過渡期の庶民の驚異の部屋の様相ではあるが、庶民に驚異の部屋が広まるというのは、インターネットの普及に似た事象でもあったのだろう。

その事実が何を意味するのか、当時の時計の普及と共に、もう少し考察しなければならないと思う。
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