
おいしいと評判の鳥足を食べに行った。
店内はお世辞にもきれいとは言えないが、まあ汚いとも言い切れない感じ。
有名人のサイン色紙がたくさん飾られている。お、モト冬樹。
内装に使用されている石膏ボードのような壁には、一面にたくさんの落書き。
ここで鳥足を食べた客が感想を書いているようだ。
おおむね「おいしかった!」という書き込みで埋め尽くされている。
厨房がセンターにあり、そこを取り囲むようにカウンター席があり、
さらにそれを囲むように座敷席がある。
どこに座っても厨房の様子は丸見えだ。
大将とおぼしきスキンヘッドのおっちゃんが、炭火でもくもくと鳥足を焼いている。
その横では店員であろうおっちゃん(大将よりは若そうだ)がサポートしている。
とりあえずビールと鳥足を注文。
親と若(ひな)を1本ずつ。焼けるまで30分はかかるだろう。
そんなことは百も承知なので、他のアテでビールを飲みながら気長に待つ。
と、突然、店内に大将の怒号が響いた。
サポートのおっちゃんが鳥足を焼いていたのだが、
どうやらその焼き方が気に入らなかったようだ。
「それじゃダメだって、何回言ったらわかるんだ!」と大将は怒鳴る。
その怒号を黙って受け止め、懸命に鳥を焼き続けるおっちゃん。
やれやれ。
ワタクシは、客の前で店員を叱りつける店は好きではない。
というか、世間一般、そういう店が好きな人はあまりいないと思う。
居たたまれない気持ちになると同時に、
その怒号はただの勘違いしたアピールではないのかという懐疑に苛まれる。
「オレはこだわりを持つ頑固オヤジだアピール」
「ちゃんと厳しく店員を教育してますよアピール」
やれやれ。
しばらくして出てきた鳥足は、まさにおっちゃんが怒られながら焼いたその鳥足だった。
えー。「それじゃダメだ!」とか怒鳴ってたけど、客に出すんだ。
いや、おいしかったけどさ。
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